サナシオ インテリジェンスレポート
- 2009.07.01
- サナシオからのお知らせ
本日7/1(水)より、サナシオのホームページがリニューアルしました。
掲載内容も、より見やすく、アルバイト募集情報の他に「医療機関・健診会社」のページに
先生方の求職情報も掲載できるようになりました。
こちらは、仕事をお探しの先生の情報を掲載し、医療機関の求人とマッチングを試みるシステムです。
掲載をご希望の方は、弊社までご連絡下さい。
また、代表の日笠より、日頃よりご活躍頂いている先生方へ、
インテリジェンス・レポートをお送りします。今後の活動のお役に立てば、幸いに存じます。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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サナシオ・インテリジェンス・レポート
------------------------------------------------------- 2009年7月1日 サナシオ代表 日笠 豊 ------------------------------------------------------- 現 在の 医 師 動 向 このレポートは、調査目的で情報を収集し解析したレポートではありません。 サナシオの日常活動の中で得た情報や報告などを基に書かれたものです。 従って他の情報と同じように一つの参考意見として読んでいただければ幸いです。
開 業 医 ① 新規開業は難しい時代になっている。サブプライム以前は無担保でも 融資が受けられたが、今は銀行が貸し出しを絞る傾向にある。 もし融資を受けられたとしても、銀行が医師に比較的容易に貸し出しを行うのは、 「開業に失敗しても高給の得られる勤務医をさせれば資金の回収が可能だから」 とういうのが銀行筋からの情報である。 また不動産会社や税理士が医師の開業サポート業務をしているが、 情報を総合すると自分の利益しか考えていない所が大半なので注意が必要である。 ② 新規開業を考える場合、今の開業は孤立しての成功は難しいと思われる。 老健、有料老人ホームとのタイアップや、往診など、外に出る事が必要である。 また開業医仲間でグループ化を計り、専門外の患者さんを紹介をし合うなどの ネットワーク化がないと受診者数は増えない。大きな資金が用意できる場合には、 老人ホームやシルバーハウスなどの併設も検討すべきである。 ③ 60~65歳以上でパソコンやITに慣れていない開業医は、もともと孤立しており、 患者さんの激減に見舞われている所が多い。 レセプトのオンライン化が強制されなくても将来、淘汰される可能性が大きい。 勤 務 医 ① アルバイトの出来ないいわゆる公的・準公的な病院に勤めている医師は 激務と低賃金に苦しんでいる。 技術習得・臨床経験増加など何らかの目的がない場合には、 将来の目標を定めて職場環境を変える決断が必要となる。 ② 市中病院では給与も職場環境も比較的良い所もある。 ただ大半は療養型のベッドを持つことになり、 急性期のベッドしか持った事のないDrは抵抗を感じる事がある。 ③ Drが行きたがらない地方の病院では、高給でDrを募集している所もある。 しかしDrが少ない分、勤務は過酷になりがちである。 産 業 医 ① 今までは高齢医師の職場であったが、若い医師が増えている。 勤務時間が決まっており、勤務医に比べれば仕事は楽である。 しかし専任産業医で長期間勤務を続けると臨床能力が大幅に低下する。 給与は低下傾向にある。 ② 最近は変化しつつあるとはいえ大企業や銀行などでは産業医の能力よりも、 旧帝大系などの高学歴医師を希望する事がある。 ③ 医療では「患者さんを救う」という目的と正義があるが、 産業医業務は企業運営のサービス部門なので企業の中では裏方であり、 医療的正義は実現しにくい環境にある。 一般に労働衛生部門は総務部長の業績と評価されるので、企業にもよるが、 不況になればサービスの低下を、好況になればサービスの向上を強いられる。 研 究 者 ・ 教 員 ① 一般的に高い給与の取れる仕事ではないし、 大学で臨床系の仕事をしない限り臨床能力は低下する。 ② 大学で教授になり、金銭的成功をしているDrは薬剤メーカーとの タイアップを上手にしている。 薬剤メーカーが資金を提供するのはマーケットが広く、 競合商品が多い分野である。 最も潤沢に資金が提供されているのは、循環器分野の中でも 高血圧関連分野である。 今後の医師の活動分野がどうなるのかは興味がある点だが、国の法的、 予算的な方向性が不透明な状況なので現時点で方向性を推察する事は難しい。 しかしグローバルな観点から、ある程度の方向性を考えてみたい。 今 後 の 医 療 の 方 向 性 ① 国際的レベルの研究開発能力のない医学部や医科大学は大学という 名称であっても研究機関ではなくなり、一般の大病院に近い存在になる。 従って研究者で生きようとするDrは最良の研究環境を求めて 常に移動する必要がある。 ② 医師の給与は極端に高い人や低い人がいるが、平均すると欧米先進国の 給与水準である1200±400万レベルに収束するものと考えられる。 ③ 欧米先進国では、勤務時間が明確な管理的業務が好まれる傾向があり、 本邦でもそのような傾向が今後も強くなると思われる。 サ マ リ ー 医師という職業は幅が広い。臨床を全くやらない仕事もある。 その中で秀でるために臨床を捨てる選択をするのも良い。 しかし医師であれば臨床の場に何時でも戻れる臨床能力を保持する事が 重要ではないかと思う。 卒後6~7年の臨床経験で、専任産業医の仕事を選択するDrもいるが、 10年も臨床を離れれば臨床能力が大幅に低下し臨床に戻れなくなる可能性が高い。 臨床能力を保持する事は、職業選択の幅を狭めないという点からも重要である。 臨床能力を保持するので最も大切な事は、卒後暫くの間は厳しい労働環境であっても 臨床経験をしっかりとする事である。 一般的には5年程度、マニュファクチュアルな手技が伴う外科的なものであれば 10年程度は必要であろう。 若い時代に厳しい臨床環境で身に着けた臨床能力は、その後、臨床を離れても、 時折、外来、検査・手術の手伝いをする事などで一般的に保持される。 サ ナ シ オ の 美 味 し い 話 「サナシオで美味しい話はないの?」と聞かれる事がある。 サナシオでの美味しい話の一部を付録として上げてみたい。 ① サナシオで、いちばん美味しい話は、サナシオの所属となって 幾つかの嘱託産業医を兼務し、空いた時間に外来や健診、 検査のバイトをする事である。 専任産業医のような辛さはないし、臨床能力も維持できる。 特に女医さんにはお勧めと思う。 ② 少し前になるが、海外の留学先から帰国した東京出身のDrがいた。 医局のポストが空くまでの数ヶ月間、サナシオで毎日のように バイトをしていた事がある。 彼は東京から車を持ち込み、サナシオが紹介した神戸中心部の ビジネスホテルを拠点に活躍していた。 土日や仕事の合間に、車で九州や四国のめぼしい観光地は全て回って 西日本の夏を満喫していた。 ③ 英国の医師免許に合格して、ロンドンで開業したDrがいる。 彼は英国の医師免許に合格するまでの間、家族をロンドンに残しサナシオで バイトをして生活費を稼いでいた。 時々、試験や家族の為にロンドンに戻らなければならない為に、 そのような生活パターンを選んだのだと思う。 ④ 整形外科で開業をしているDrがいる。 彼はOPが出来ない事にストレスを感じていたが、 サナシオが近くの病院を紹介してOP場を使用する事が出来るようになった。 彼の希望は叶えられ、病院もクリニックも患者さんが増加している。 私達の元には色々の要請が持ち込まれる。仕事の組み立てが上手くゆかないで、 そのまま放置される事も多い。 もっと色々な情報を集めていれば、うまい組み立てが出来るかもしれない。 そうすればDrの連携で、もっと美味しい話が作れるのではないかと思う。 例えばDrの求人を求める病院が多いが応募するDrは少ない。 このような場合には、勤務するDrの立場に立って仕事の組み立てを考えてゆけば、 Drも集まり易いのではないかと思う。 皆様のご要望に直ぐに充分に答えることは難しいが、ご要望をお寄せいただいたり、 サナシオに遊びに来ていただいて雑談をしたりすれば、 ヒントが貰えてより良い活動が出来るのではないかと思う。 サナシオ・インテリジェンス・レポート(PDF)