産業医に関すること
産業医って何?病院の医師とは違うの?
産業医は医師ですが、一般の医師のように個人的な病気について診療・治療する医師ではありません。働く人の健康を守るための医師をいいます。
また、産業医は医師の資格に加えて『産業医資格要件』を満たしていなければいけません。
- 産業医資格要件・産業医の職務について
- 『産業医活動の為のガイドライン』(産業医学振興財団)
- 関係法令
労働安全衛生法第13条、労働安全規則第13条~15条
産業医は必ず必要なの? 手続きはどうするの?
常時使用する労働者が50人以上の事業所は産業医を選任する必要があります。
選任する事由が発生してから14日以内に選任し、所轄の労働基準監督署に所定の用紙にて選任届けを出す必要があります。
産業医の選任の報告書様式
下記の厚生労働省サイトより、ダウンロードできます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/20.html
産業医を選任することにしました。どんな人を選べば良いですか?
産業医が来たら、どう対応したら良いですか?
多くの中小企業は嘱託という形で産業医を選任し、出務も月に1回数時間程度のパターンが多いと思います。
その限られた時間の中で法定で定められた衛生委員会や職場巡視、そして過重労働面談など多くの業務がありますので漏れがないように効率よく調整する必要があります。
更に、『産業医』という業種について従業員が知らない場合が多々ありますので、まず、産業医を選任したという案内とともにその業務内容についても周知しておくと良いでしょう。
産業医に職場巡視を依頼したら断られて困っています。
産業医は基本的に月1回の職場巡視と、衛生委員会への出席が必要です。
依頼しても断られるようでしたら、産業医交代について考慮していく必要があります。
労働者50人未満の会社ですが過重労働面接や健診の事後措置をお願いできますか?
選任義務のない事業所についても産業医契約を結ぶことは可能です。
コストを抑えたい場合は産業医契約に準じた健康管理契約プランもございます。ご相談ください。
また、過重労働面接のスポット対応のみにも対応いたします。まずはご要望などお問合せください。
職場巡視に関すること
労働安全衛生規則(安衛則)第15 条に『産業医は、少なくとも毎月一回作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。』とされています。
また、職場巡視しましたらその結果を用紙に残すことをおすすめします。
健康診断に関すること
健康診断はやらなければいけないの?もし、実施しなかったらどうなるの?
健康診断にはどんな種類がありますか。
一般健康診断
一般健康診断の種類 | 対象者 | 根拠条文 |
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雇入時の健康診断 | 常時使用する労働者を雇い入れる際 | 労働安全衛生規則第43条 |
定期健康診断 | 常時使用する労働者に1年以内毎に1回 | 労働安全衛生規則第44条 |
特定業務従事者に対する健康診断 | 常時使用する労働者で安衛則第13条第1項第2号の業務に従事する労働者に対して配置換えの際及びその6月以内毎 | 労働安全衛生規則第45条 |
海外派遣者の健康診断 | 労働者を6か月以上海外に派遣する際及び6か月以上海外に派遣した労働者を帰国させ国内の業務に就かせる際に実施 | 労働安全衛生規則第45条の2 |
給食事業者の検便 | 給食従業員を雇い入れの際、当該業務へ配置替えの際に実施 | 労働安全衛生規則第47条 |
特殊健康診断
労働衛生対策上、特に有害であるといわれている業務に従事する労働者等を対象として実施する健康診断で、有害業務に起因する健康障害の状況を調べる健康診断。 常時従事する労働者に対しては雇入れの際、当該業務への配置換えの際、及びその後6月以内毎に1回定期に健康診断を実施する。特殊健康診断の種類 | 対象者・対象業務 | 根拠条文 |
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歯科健康診断 | 塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗(ふつ)化水素、黄りん、その他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務 | 労働安全衛生規則第48条 |
じん肺健康診断 | じん肺施行規則別表に掲げる粉じん作業に常時従事、または従事したことがある労働者 | じん肺法第3条、第7~第9条の2 |
有機溶剤健康診断 | 一定の有機溶剤業務(安衛法施行令第22条第1項第6号)に常時従事する労働者 | 有機溶剤中毒予防規則第29条 |
特定化学物質健康診断 |
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特定化学物質等障害予防規則第39条 |
石綿健康診断 |
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石綿障害予防規則第40条 |
鉛健康診断 | 鉛等を取扱う業務に常時従事する労働者(安衛法施行令第22条第1項第6号) | 鉛中毒予防規則第53条 |
四アルキル鉛健康診断 | 四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者(安衛法施行令 第22条第1項第5号) | 四アルキル鉛中毒予防規則第22条 |
電離放射線健康診断 | 放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者(安衛法施行令第22条第1項第2号) | 電離放射線障害防止規則第56条 |
高気圧健康診断 | 高圧室内業務又は潜水業務(安衛法施行令第22条第1項第1号) | 高気圧作業安全衛生規則第38条 |
行政指導によるおもな健康診断
VDT健康診断(基発0712第3号)、騒音健康診断(基発第546号)、腰痛健康診断(基発第0618第1号)等計30の業務について行政指導による健康診断が定められています。1 | 紫外線・赤外線にさらされる業務 |
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2 | マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る)を取り扱う業務、またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散させる場所における業務 |
3 | 黄りんを取り扱う業務、または燐の化合物のガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
4 | 有機りん剤を取り扱う業務または、そのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
5 | 亜硫酸ガスを発散する場所における業務 |
6 | 二硫化炭素を取り扱う業務または、そのガスを発散する場所における業務(有機溶剤を除く) |
7 | ベンゼンのニトロアミド化合物を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
8 | 脂肪族の塩化または臭化化合物(有機溶剤を除く)を取り扱う業務またはそれらのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
9 | 砒素または、その化合物を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
10 | フェニル水銀化合物を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
11 | アルキル水銀化合物を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
12 | クロルナフタリンを取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
13 | 沃素を取り扱う業務またはそのガス、蒸気もしくは粉塵を発散する場所における業務 |
14 | 米杉、ネズコ、リョウブまたはラワンの粉塵等を発散する場所における業務 |
15 | 超音波溶着機を取り扱う業務 |
16 | メチレンジフェニルイソシアネートを取り扱う業務またはこのガス、もしくは蒸気を発散する場所における業務 |
17 | フェザーミル等飼肥料製造工程における業務 |
18 | クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取り扱う業務 |
19 | キーパンチャーの業務 |
20 | 都市ガス配管工事業務 |
21 | 地下駐車場における業務 |
22 | チェーンソー使用による身体に著しい振動を与える業務 |
23 | チェーンソー以外の振動工具(削岩機等)の取り扱い業務 |
24 | 重量物取り扱い業務 |
25 | 金銭登録の業務 |
26 | 引金付工具を取り扱う業務 |
27 | VDT作業 |
28 | レーザー機器を取り扱う業務またはレーザー光線にさらされるおそれのある業務 |
29 | 半導体製造工程における業務 |
30 | 騒音作業 |
- 雇用期間の定めない者
- 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上使用される予定の者
- 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上引き続き使用されている者 特定業務従事者にあっては1、2の期間は6月になる
健康診断を拒否する従業員がいますがどうしたら良いですか。
健康診断を実施した後はどうしたら良いですか
健康診断は事業主に課せられた安全配慮義務より労働者の健康を守る為に実施します。従って実施しただけでは十分に義務をはたしたとは言えません。
健康診断を実施した場合には、事業主はその結果を次のような場面で活用しなければなりません。
- 健康診断個人票の作成(労働安全衛生法66条の3)、及び5年間保存
- 異常所見者について医師等からの意見聴取(同66条の4)
- 2.の意見を勘案し、適切な措置の実施(同66条の5)
- 一般健康診断については、受診者への結果通知(同66条の6)
- 一般健康診断については常時50人以上使用の事業場(有害業務の健康診断は人数に無関係)は、労基署長へ健康診断の結果報告書を提出(同100条1項)
労働安全衛生法66条の3第1項によると事業主は、健康診断の結果、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等の措置を講ずるほか、作業環境の測定の実施・施設または設備の設置または整備その他の適切な措置を講じなければならないと規定しています。
健康診断及びその結果に基づく措置・・就業上の適正配置への助言・勧告など (指針)
健康診断や検診に関する科学的なデーターはありますか
健康診断の中で有用と立証されているのは血圧しかなく、あとはせいぜい体重とコレステロールくらいということになります。また、胸部レントゲン検査は有用ではないと立証されています。
癌健診における死亡率減少効果が男女とも立証されているのは、便潜血による大腸癌健診のみであり、ほかは乳癌・子宮癌健診くらいであることが分かります。
メンタルヘルスに関すること
メンタルヘルスについて何か指針とかありますか
メンタルヘルスの指針等は厚生労働省受託事業である「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』」が参考になります。また、メンタルヘルス指針の抜粋を下記致します
労働者の心の健康の保持増進のための指針について(厚生労働省による詳細な案内)
近年、労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にあります。更に、精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年、増加傾向にあります。このような中で、心の健康問題が労働者、その家族、事業場及び社会に与える影響は、今日、ますます大きくなっており、事業場においてより積極的に労働者の心の健康に保持増進を図ることは非常に重要な課題となっています。
このため、事業場におけるメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施をさらに推進するため、労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく指針として、新たに「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が公示されました。
4つのメンタルヘルスケアの推進
メンタルヘルスケアは『セルフケア』『ラインによるケア』『事業場内産業保健スタッフ等によるケア』『事業場外資源によるケア』があります。
産業医は労働者・管理監督者の支援、及び事業場外資源との連携など重要な役割を担います。
職場復帰の流れ
心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
(パンフレット https://www.jaish.gr.jp/information/mental/Return_all.pdf)
- 第1ステップ・・病気休業開始及び休業中のケア
- 第2ステップ・・主治医による職場復帰の判断
- 第3ステップ・・職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
- 第4ステップ・・最終的な職場復帰の決定
- 職 場 復 帰
- 第5ステップ・・職場復帰後のフォローアップ
雇用した従業員が病歴を隠していました。解雇することはできますか?
経歴詐称とは、労働者が、入社の際、学歴、職歴、資格、犯罪歴などの事実を偽り、真実を告知しないことをいいます。この経歴詐称は、労働者の適切な配置、業務遂行能力査定に必要な項目であり、詐称により人事管理等の企業秩序に混乱を生じるような「重大な経歴詐称」があった場合は、懲戒解雇もやむを得ないとされています。
但し、業務と直接関係のない虚偽報告のような場合には解雇までは難しいといえるでしょう。 また、会社が学歴や職歴に応じた人事管理体制を取っていない場合や、取っていても採用にあたり、そのような条件を明示せず、学歴に関し質問しなかった場合も同様に問題にはなりえません(西日本アルミ工業事件・福岡高判昭55・1・17労判334号12頁)。
このようなトラブルを防ぐためには会社の人事管理体制を整備し、募集条件を明確化しておくことが必要です。例えば、入社にあたり、このような学歴、経歴・資格が必要であり、それに応じた人事管理がなされているということを明確にし、かつ、実行し、これに違反する従業員に対して公正に対処できる懲戒規定を置いた就業規則を整備しておくことが必要です。
従業員が『うつ病のため休業を要する』といった診断書を持って来ました。どうしたらいいですか?
この頃遅刻や仕事のミスが増えるなど精神疾患の疑いがあります。医師の受診を強制することは可能でしょうか?
事業主には安全配慮義務があり、従業員の過失による事故や事件の場合、会社が責任を負われる場面があるので採用時面接の時に既往歴などを確認したのいのですがこれはいけない事でしょうか。
収集してはならない個人情報
人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、思想及び信条、労働組合への加入状況、その他 社会的差別の原因となるおそれのある事項。ただし、職業の特性上上記の個人情報を収集するこ とが必要不可欠なため事前に収集目的を本人に提示してから収集する場合を除く。 前述の告示に病歴は含まれていない点からみれば、既往歴を確認することが直ちに違法になるかと いえば否ですが、直接業務に関わりがない既往歴まで確認することは、プライバシーの侵害、個人 情報保護法違反、就職差別などの観点から、非常にリスクのある行為です。 確認する事項については、直接業務に関わりがあると合理的に判断できる内容かどうかを充分にご 検討されたほうがよいかと思います。ハラスメントに関すること
セクハラやパワハラについて学びたいのですが指針とか参考になる資料がありますか?
- 1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
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- (1) 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- (2) セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
- 2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
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- (3) 相談窓口をあらかじめ定めること。
- (4) 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
- 3.職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
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- (5) 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
- (6) 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
- (7) 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
- (8) 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
- 4.1から3までの措置と併せて講ずべき措置
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- (9) 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
- (10) 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
その他労働衛生に関すること
※コンテンツ準備中