雇用した従業員が病歴を隠していました。解雇することはできますか?
- 2014.12.17
経歴詐称とは、労働者が、入社の際、学歴、職歴、資格、犯罪歴などの事実を偽り、真実を告知しないことをいいます。この経歴詐称は、労働者の適切な配置、業務遂行能力査定に必要な項目であり、詐称により人事管理等の企業秩序に混乱を生じるような「重大な経歴詐称」があった場合は、懲戒解雇もやむを得ないとされています。
但し、業務と直接関係のない虚偽報告のような場合には解雇までは難しいといえるでしょう。 また、会社が学歴や職歴に応じた人事管理体制を取っていない場合や、取っていても採用にあたり、そのような条件を明示せず、学歴に関し質問しなかった場合も同様に問題にはなりえません(西日本アルミ工業事件・福岡高判昭55・1・17労判334号12頁)。
このようなトラブルを防ぐためには会社の人事管理体制を整備し、募集条件を明確化しておくことが必要です。例えば、入社にあたり、このような学歴、経歴・資格が必要であり、それに応じた人事管理がなされているということを明確にし、かつ、実行し、これに違反する従業員に対して公正に対処できる懲戒規定を置いた就業規則を整備しておくことが必要です。